設立趣旨
1. 設立趣旨
私たちは、男女が、社会の対等な構成員として、みずからの意思によって社会のあらゆる分野
における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的および
文化的利益を享受することができ、かつ共に責任を担うべき男女共同参画社会を形成することに寄与したいと思います。
そのような社会の形成へのプロセスにおいては、男女の人権が尊重され、具体的には、
男女の個人としての尊厳が重んじられること、男女が性別による差別的取り扱いを受けないこと、
男女が個人として能力を発揮する機会が確保されることが含まれます。私たちは、このような男女共同参画社会を、
わが国だけではなく、地球規模で実現することが必要だと考えます。
それが、世界平和を推進する確実な一歩を踏み出すもとと信じます。このような目的をもって、
開発途上国、とりわけ、ネパールにおける女性の地位の向上に取り組みたいと思います。
ネパールは、世界でも、もっとも女性の人権が重視されていない地域です。それには、宗教、ジェンダー、カースト、
居住地域など、多くの原因があるでしょう。私たちは、この女性の地位を改善し、男女共同参画社会を国際的に
形成するための具体的アプローチを教育に求めたいと思います。ネパールにおいては、とりわけ、遠隔地に住む少女たちは、
その3割程度のものしか小学校教育を受ける機会を持っていません。私たちは、これまでの数多くの現地調査の経験から、
女性教育の普及拡大のために重要なことは、できるだけ質のいい女性教員を養成することにあるという結論に到達しました。
このような政策目的を実現するために私たちは、ここに「日本ネパール女性教育協会」というNPOを設立したいと思います。
私たちは、上記の目的のために、次のような事業に取り組みたいと思います。
(1) ネパールにおける女性の教育、とくに少女に対する初等教育の普及のための調査を行い、
その調査にもとづき、就学率の向上等の教育環境を改善するために有効な政策を形成し、提案や適切なキャンペーンを行います。
(2) ネパールにおける女性教員の現状を調査し、その調査にもとづき、その待遇 や教育能力の改善のために、
有効な政策を形成し、提案や適切なキャンペーンを行います。
(3)ネパールにおける教育状況を調査し、日本の教育経験にもとづいて、前者の改善のために有効な政策を形成し、
提案し、適切なキャンペーンを行います。
2. 設立申請までの経過
私は、1993年以来、文京女子大学(現、文京学院大学)国際女性学ゼミナールの学生と共に、毎年ネパール遠隔地域において、
農山村女性の現状に関する調査・研究を重ねてまいりました。また、私たちは、1996年11月に、
日本・ネパール国交樹立40周年記念シンポジウム「ネパール女性と子どもの21世紀を考える」に参加し、
これまでの活動をさらにパワーアップさせるためにNGO「ネパール女性の教育を考える会」を結成し、活動をはじめました。
その活動の一環として1999年4月より11月にかけて、ネパール全土にわたり、「女性と教育―ネパール農山村の少女たちの
就学状況と女性教員の現状」調査を実施しました。2000年3月24日には、この調査の結果を、ユネスコの支援をえて、
駐ネパール・日本大使館において、国際セミナー「ネパール遠隔地における女性と教育」として開催し、調査結果にもとづく政策提案を、
ネパール政府や教育関係者に提言いたしました。それ以降も、ネパール現地の協力者たちと共に、数回にわたって、同様の趣旨で、
現地調査を行ってまいりました。
日本国内でも、北九州博覧祭(2001年9月9日)、With youさいたまのオープニング・イベント(2000年4月29日)、
国立女性教育会館の女性学・ジェンダー研究フオーラム(2002年8月23日)などをはじめ、毎年全国各地で、
シンポジウムやワークショップを開催して、ネパールにおける女性教育の現状を、日本国内に伝え、改善策を提案し、
より多くの人々の理解と協力を求め、それを通じて、国際協力と世界平和の推進のために寄与する活動を行っています。
これまでの活動の範囲と規模をさらに拡大し、とりわけ、これまでの調査をもとに、私たちのもつ政策の実現を図るための
具体的なプロジェクトを推進するために、一方では、より多くの協力者を集める必要があり、他方では、公的な支援を得ることが
不可欠の状況にあります。とくに、ネパールという海外での活動が、私たちのプロジェクトの中心にありますので、
今後の活動のためには、私たちの会を法人化して、団体としての責任を明確化しておくべきであるという結論に到達いたしました。
以上のような経過から、ここにNPO非営利活動法人としての申請をさせていただく次第であります。
2003年10月30日
代表 氏名 山 下 泰 子
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